ニッポン"鍋"図鑑
2017/02/10
歴史の中で"鍋"が最初に文献に登場したのは奈良時代の史書『日本書紀』だそうです。「なべ」の語源は、さかなを煮る瓶のような土器を意味する「肴瓮(なへ)」が濁音化したもの。当時、土なべは「堝(つぼ)」と呼ばれていましたが、のちに鉄鍋が伝わると、区別するために「土鍋」と称されるようになったようです。
さて、日本には、様々な鍋料理があり、それぞれの料理に合わせた調理道具としての"鍋"があります。ここでは、おもな鍋料理に使われる"鍋"を取り上げて、ご紹介します。
土鍋
陶器製の鍋のこと。火のあたりが柔らかく、保温性が高い。深型のものは煮込み料理や炊飯に、浅型のものは蒸し焼きなどに向いている。急激な温度変化に弱いので、火にかける前に必ず水滴を拭き取っておくこと。
すき焼き鍋
すき焼きの調理に用いられる、鋳鉄の鍋。厚みがあり、熱したときに鍋全体に熱が均等に伝わり、油や水分が馴染みやすく広がり、底面は浅底の平丸。肉を焼きやすい形状でもある。一部には陶器製や銅製もある。
しゃぶしゃぶ鍋
真ん中が煙突状になっている。当初は七輪で使用していたため、この形状になった。表面に槌目(つちめ)という凹凸があるものが熱の伝導性と保温性が高い。銅製、アルミニウム製、ステレンレス鋼製がある。
ジンギスカン鍋
中央が盛り上がり、表面が凹凸状の鋳鉄鍋。羊肉から出る肉汁を絡ませながら野菜を炒めることができる。穴があるものは、肉の余分な脂を落とすため。深型のものはシメも楽しめる。アルミ製や陶板もある。
おでん鍋
仕切りがついて、鍋の中で具を分けることができる。保温用の木蓋が付いているものが多い。家庭用は卓上で使えるサイズ。角型の業務用を模したデザインで、電気式やIHなど保温機能付きのタイプもある。
湯豆腐鍋
やや浅めで底面が平ら、つけ汁を入れる容器が付いている。木製の湯豆腐桶は、銅壺(どうこ)に入れた炭を熱源として温め、つけ汁は汁次(土瓶)に入れる。業務用が家庭向けにも販売されている。
囲炉裏鍋
田舎鍋、大和鍋とも呼ばれ、囲炉裏の調理に使用する、柄が付いた丸底の鋳物鍋。自在鉤(かぎ)などに吊るす、五徳に置く、併用するなど、地域によって使い方は異なる。一人用のミニサイズもある。
紙鍋
紙製の鍋。鍋潟に編んだ金網に和紙を貼り、野菜などの材料を入れて煮る。中に水分が入っているため、紙が燃えることはない。宴会等に使う業務用で、使い切り。紙はアクを吸着する役割も果たす。
箔鍋
アルミ箔でできた鍋。もとは宴会等に使う業務用だが、近年では一食分の鍋セットにも使用されている。アウトドアで使えるアルミ鍋も箔鍋の一種といえる。IH調理器に対応しているものもある。
ビビンパ鍋(石鍋)
韓国の石焼ビビンパ、鍋料理、スープに使用する、天然石を使った石鍋。一般的な石鍋は角閃石、高級なものは長水石を使っている。使用前に洗浄、煮沸、熱処理などの慣らしが必要。近年では陶器製もある。
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掲載日 2017/02/10