テキーラと創作餃子が楽しめる「Gatito」(前編)

テキーラと創作餃子が楽しめる「Gatito」(前編)

餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」は、東京・大井町にあるテキーラ専門バー「Gatito(ガティート)」店主の伊藤裕香さんにテキーラと楽しめる創作餃子の作り方を教えていただきます。
  • 「Gatito(ガティート)」店主の伊藤裕香さん
「Gatito(ガティート)」店主の伊藤裕香さん
 

テキーラ専門バーに餃子?

Gatitoは、都内有数のテキーラバーとして知られているお店です。駅から少し離れていることもあり隠れ家的な雰囲気なのですが、店内に入ると400種類以上もの個性的なテキーラのボトルがずらっと並んでいて、これらを眺めるだけでも気分が上がります。
店主の伊藤さんは会社員時代に出会った100%アガベのプレミアムテキーラの魅力に取りつかれ12年前にここ大井町でGatitoを創業しました。日本テキーラ協会公認の「グラン・マエストロ・デ・テキーラ」の資格も取得され、今ではGatitoの営業のみならずテキーラ関連イベント開催などテキーラの魅力を日本全国に広げるための活動もされています。
そんなGatitoの人気の裏メニューとして存在するのがテキーラと楽しむ創作餃子。伊藤さんは「メキシコ料理の定番タコスと餃子は要素が似ているので餃子とテキーラは合うに違いないと思い、裏メニューで出していたら話題になりました。」と創作餃子誕生の背景を説明してくれました。
創作餃子は話題にはなりましたが「今でもバーの裏メニューのままなので、それぞれの餃子に名前は付けていません。」と伊藤さん。
  • 400種類以上もの個性的なテキーラと店舗の外装
400種類以上もの個性的なテキーラと店舗の外装
 

100%アガベテキーラとメスカルってどんなお酒?

テキーラには、一般的な「テキーラ」と「100%アガベテキーラ」の2つのカテゴリーにわけられ、100%アガベのテキーラは、ブルーアガベという植物だけでつくるピュアな蒸留酒を指します。一方で一般的な「テキーラ」は、ブルーアガベを51%以上使いますが、サトウキビやトウモロコシ由来の糖分も混ざっています。Gatitoに置かれているテキーラは全て100%アガベテキーラです。
また、テキーラは樽熟成の期間によって4つのカテゴリーに分かれます。熟成期間が2か月未満のブランコは爽やかな香りが楽しめます。熟成期間が2か月以上の「レポサド」、1年以上の「アネホ」、3年以上の「エクストラ・アネホ」と、熟成期間が長くなるとウイスキーの様な琥珀色になり芳香な樽香も楽しめるお酒になります。
「テキーラ=一気飲み」というイメージが強いかもしれませんが、実は様々な飲み方が楽しめるのがテキーラの魅力です。常温ストレートで香りを楽しみながらゆっくり飲んだり、ハイボール(テキハイ)や水割りにすれば食中酒としても楽しめます。テキーラは口の中をさっぱりさせるリセット効果もあるので肉料理や揚げ物とも相性も良いですし、風味を楽しみながら、鮨や和食と合わせるのもおすすめです。
メスカルもテキーラと同様にアガベを原料とするお酒で「テキーラの母」とも呼ばれています。テキーラがブルーアガベのみを原料として比較的大き目な蒸留所で生産されるのに比べ、メスカルは多様な品種のアガベを使用し、ごく小規模な蒸留所で古典的な製法で作られます。このためワインがブドウの品種やワイナリーでその味が変わるように、メスカルもそれぞれの生産者によって個性溢れるフレーバーに仕上がるのだそうです。またこの個性を活かすために基本的には樽熟成はさせず、フレッシュなものを楽しむのも大きな特徴です。
伊藤さんは「個性的なメスカルのフレーバーに合わせた餃子を考えると餃子の可能性も広がると思います。」と、新しい餃子の楽しみ方を提案してくれました。
  • 100%アガベのテキーラは、ブルーアガベという植物だけでつくるピュアな蒸留酒
  • 新しい餃子の楽しみ方提案
100%アガベのテキーラは、ブルーアガベだけでつくるピュアな蒸留酒
 

100%裏メニューの創作餃子とのペアリング

創作餃子の一つとしてラム肉を使った餃子の作り方を教えてもらいました。豚肉、ラム肉、白菜をベースに、オイスターソース、生姜、ニンニク、塩で下味をつけて練りこみます。そこに細かく刻んだ玉ねぎ、パクチー、自家製の乾燥マイタケを砕いて入れ、軽く混ぜれば餡の完成です。「玉ねぎやパクチーは、タコスに欠かせない食材でもあるので、テキーラやメスカルに良く合うんですよ。」と伊藤さん。
大き目の皮を使って餡をたっぷり包みます。トッピングに、自家製のドライトマトと生粒コショウを2粒のせます。トマトと粒コショウは、口に入ったタイミングでアクセントになるよう、餡には混ぜずに後のせにしています。
「メスカルのモンテロボス ペチューガとのペアリングをイメージしています。」と伊藤さん。蒸留工程で七面鳥の胸肉やフルーツ、スパイスなどを使うことによって生まれるワイルドな風味が、ラム肉とのよく合うとのことです。
  • 創作餃子の一つのラム肉を使った餃子
  • 創作餃子の一つとしてラム肉を使った餃子
創作餃子の一つとしてラム肉を使った餃子
焼きあがった羊肉の餃子は、まずラム肉の強い旨味が口の中に広がり、後からトマトの酸味が追っかけてきます。そして粒コショウを噛むと心地よい辛みと香りが加わり、一口で何度も風味の変化が楽しめます。モンテロボス ペチューガの複雑な風味との相性も完璧でした。
  • モンテロボス ペチューガの複雑な風味との相性も完璧
モンテロボス ペチューガの複雑な風味との相性も完璧
 

  • Gatito
店舗情報
●店名:「Gatito(ガティート)」

●所在地: 〒140-0014 東京都品川区大井4-10-7
●営業時間:
18:00 - 23:30
●休業日:不定休 Facebookページでご確認ください。
●電話番号:03-3774-7757
●Gatito Instagram アカウント:https://www.instagram.com/gatito.tequila/

塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)