水餃子の人気店「LIU's gyoza」(後編)
餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」では、前回に引き続き大連仕込みの水餃子の人気店「LIU's gyoza」の劉玉栄さんに、日本では珍しい海鮮類や旬の野菜などを使った水餃子の餡作りのこだわりを教えていただきました。
海鮮餃子の基本、海老を使った水餃子
日本の焼き餃子の一般的な具材といえば、豚肉、キャベツ、ニラ、ニンニクなどが挙げられます。専門店で出される餃子も、家庭で作られる餃子も、さらに大手メーカーの冷凍食品の餃子においても、これらの材料を用いた組み合わせが主流ですよね。
しかし、中国の水餃子では「三鮮餃子」が定番とされています。「三鮮」とは、肉、野菜、海鮮の組み合わせを指し、豚肉、ニラそして海老が使用されるのが一般的です。また、三鮮の豚を卵に変えた素三鮮というパターンの餃子もあります。
劉さんの作る水餃子は、定番の三鮮を踏襲しつつも海老の比率が全体の7割越えという、ほぼ海老で作った餃子です。海老は大きめに切り、餡の食感が引き立つように工夫されています。豚肉はつなぎの役割とコクを加えるために、ニラは風味付けのためにそれぞれ少量使用されています。海老に見立てた赤い皮と包み方も印象的な餃子で、一口で頬張ると、プリプリとした海老の食感と甘みが口いっぱいに広がります。
人気商品「海老たっぷりプリプリ海老餃子」
イカやハマグリ、ウニも餃子に
劉さんが生まれ育った大連は、中国でも有数の港町の一つです。この街では、貝類、魚、イカ、ウニなど、豊富で新鮮な海産物を使った海鮮料理で知られています。そして、大連ではこれらの海鮮類を餃子の具として使用することが一般的なのだそうです。
「日本の高品質で美味しい海産物を使えば、さらに美味しい餃子が作れる!」と劉さんは言います。LIU'S gyozaの中でも特に人気なのが、イカを使用した海鮮餃子です。旬のイカ(秋にはシロイカ、冬にはヤリイカ)と帆立貝を使い、これらの旨味を卵で吸収させ、餃子の中に閉じ込めています。イカの甘味と柔らかな食感が餃子に素晴らしいアクセントを加えています。
また、「LIU'S gyoza」では、ハマグリやウニなどの高級海鮮類を使った餃子も人気です。ハマグリ餃子は、国産の大きなハマグリの身をぶつ切りにして、四万十ポークとニラのベース餡と合わせた三鮮餃子スタイルを採用しています。ハマグリの深い旨味が印象的な餃子です。
塩水ウニを使用するウニ餃子は、そのクリーミーで濃厚な味わいを皮の中にギュッと閉じ込めています。ウニは豚肉との相性も良く両者の旨味が相乗効果を生むようです。また、大葉の爽やかな香りがウニと豚肉の味を引き立て、一体感のある味わいを生み出しています。
厳選した高級海鮮類を使って作る水餃子
旬の食材で季節を楽しむ餃子
「LIU's gyoza」では、水餃子の種類が判別しやすいように皮に色を付けたり、包み方を変えたりする演出を行っています。
中国の餃子の文化では、海鮮に限らず旬の素材を積極的に使用します。餃子のレシピには厳格な決まりはなく、地域や季節に応じて入手可能な美味しい食材を使用することが一般的です。最後に劉さんに、日本の秋冬の食材を使った餃子も紹介してもらいました。
秋の餃子として、「LIU's gyoza」ではヒラタケ、シメジ、エノキダケといったきのこ類を豊富に使用した色々きのこの餃子が人気です。高知県産の四万十ポークと長ネギを基本の餡に使用し、肉汁ときのこの旨味を吸収するために細かく刻んだ油揚げが加えられています。さらに、皮にカボチャペーストを練り込むことで、皮を黄金色にし、晩秋の雰囲気を見た目にも演出しています。口の中に広がる様々なきのこの香りと旨味が特徴の餃子です。
きのこ類を豊富に使用した色々きのこの餃子
冬の餃子として、劉さんが紹介してくれたのは、ほうれん草を使った餃子です。「寒くなると、冬野菜の味が濃く、甘くなります。」と劉さんは言います。餡には四万十ポークとたっぷりのほうれん草を混ぜ合わせ、皮にもほうれん草を練り込んでいます。寒さに耐えたほうれん草が蓄えた甘みが印象的な餃子です。
ほうれん草の絞り汁を皮に練り込んだほうれん草の餃子
劉さんに餃子の作り方を学び、餃子の具材やレシピはもっと自由に考えて良いことを再認識しました。皆さんも旬の海鮮や野菜を使った餃子作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
店舗情報
●店名:LIU's gyoza(劉さんの水餃子)
●オンラインショップ https://liusgyoza.stores.jp/
●Instagramページ https://www.instagram.com/liugyoza//
●店名:LIU's gyoza(劉さんの水餃子)
●オンラインショップ https://liusgyoza.stores.jp/
●Instagramページ https://www.instagram.com/liugyoza//
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塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)