蔘鶏湯<サムゲタン>(삼계탕)

サムゲタン(삼계탕:蔘鶏湯)は、丸鶏のお腹に高麗人蔘ともち米、にんにく、なつめなどを詰めて、漢方薬材とともに長時間煮込んだ塩味のスープ。ケサムタン(계삼탕:鶏蔘湯)とも呼ばれます。
韓国伝統料理の中でもサムゲタンは、とりわけ滋養に富んだ食べごたえのある逸品です。韓国料理を代表するような豪華なスープですが、材料を準備すれば家庭でも比較的失敗なく作れる料理でもあります。

三伏サムボッ補身ポシン料理、サムゲタン

韓国では年間を通して食べられているサムゲタンですが、とりわけ暑さで食欲・体力の落ちる夏場に滋養豊かで消化吸収のよい夏バテ防止料理として、サムゲタンは筆頭に挙げられます。韓国では、このような滋養・強壮料理のことを「補陽食」(보양식:ポヤンシッ) あるいは「補身飲食」(보신음식:ポシンウムシッ)と呼びます。

蔘鶏湯

韓国の歳時習俗では、暦の上で夏至を過ぎて3回目のかのえの日を初伏(チョボッ:초복)、4回目の庚の日を中伏(チュンボッ:중복)、立秋を過ぎて最初の庚の日を末伏(マルボッ:말복)といい、初伏から末伏までの20日間を三伏(삼복:サムボッ)と呼んでいます。
三伏は一年中で最も暑さの厳しい時期にあたり、暑気払いに食べる「補陽食」「補身飲食」が、このサムゲタンというわけです。サムゲタン以外にも、犬肉を煮込んだスープ「ケジャンクッ」(개장국)別名「補身湯」(ポシンタン:보신탕)や、牛肉と野菜を煮込んだスープ「ユッケジャン」(육개장)、どじょうと野菜を煮込んだスープ「チュオタン」(추어탕)などが、三伏の補陽食として有名です。

ちなみに、補陽食は三伏の季節食としてだけでなく、虚弱体質の人の体質向上や、産後の女性の養生に、あるいは体調を崩したときの食べ物として、年間を通して日常生活の中でしばしば登場する料理でもあります。

蔘鶏湯
蔘鶏湯

薬念研究所HP:キーワードで見る食文化2022年6月「蔘鶏湯」より転載