わかめスープ<ミヨックッ>(미역국)

韓国におけるわかめの食用の歴史は古く、12世紀の文献『高麗図経』には「わかめが貴賤の別なくよく食べられている」という記述が出てきます。
わかめは韓国でさまざまな料理に使われますが、特筆すべきものは、わかめスープ(ミヨックッ)です。

韓国の家庭では古くから、子どもが産まれることがわかると、前もって上等なわかめを長いままたくさん買い求め、米とともにきれいなザルに入れて涼しい場所に保管し、出産を待ちました。そして子どもが生まれると、ご飯を炊き、わかめスープを沸かして、産婦に食べさせました。

産婦は産後3週間、毎日欠かさずわかめスープを食べなければならないと言われ、さまざまな方法でわかめスープを作っては産婦に食べさせるのが、姑や実家の母親のつとめでした。はじめは他の材料を入れずにわかめだけで作ったもの。そして次第に鶏や牛を煮てスープをとったもの、干したムール貝や海老を炒めて煮たもの、干し明太を炒めて煮たもの...

産後のわかめスープには、現代からみても、栄養的にとても理にかなったわけがありました。わかめに豊富に含まれるカルシウム、ヨウ素、カリウム、ビタミン、食物繊維は、母乳の分泌と子宮の収縮を促し、母体内の毒素を排出して血をきれいにすると同時に、神経を安定させ、骨や歯を補強するはたらきがあります。しかもこれらのすぐれた成分がスープに溶け出ているため、体内でとても吸収されやすいのです。

わかめスープ

薬念研究所HP:キーワードで見る食文化2008年3月「わかめスープ」より転載