ネンコンクッス(냉콩국수)

ネンコンクッス(냉콩국수)は、ゆでた大豆をすりつぶして作った冷たい汁に、小麦粉の細麺を入れて具をのせた、夏向きの冷たい麺料理です。ネン(냉)は「冷」、コン(콩)は大豆、クッス(국수)は麺を意味します。「ネン」をつけずに「コンクッス」(콩국수)ということもあります。

具はきゅうりの細切りやゆで卵、トマトなどが一般的ですが、ほかにゆで鶏、錦糸卵、エホバッ(朝鮮かぼちゃ)、赤ピーマンなども使われます。総じてシンプルな仕上がりで、塩味のきいた冷たい大豆汁が味のベースとなっています。

朝鮮半島におけるネンコンクッスの歴史は比較的浅く、19世紀末に編纂された料理書『是議全書シウィチョンソ』に「コングッス」(콩국수)が「ケグッス」(깨국수:冷たいごまスープの麺)と並んで出てくるのが、文献上最古の記述のようです。

医食同源の思想が食文化全体に息づく韓国では、「補養食ポヤンシッ」といって心身を養う滋養豊かな食べものが発達しましたが、中でも暑さが厳しくなり食欲の落ちる7月~8月にかけて、夏バテせず元気に暑さを乗り切るための補養食がたくさんあります。ネンコンクッスもそのひとつと言えます。 大豆を主材料とするネンコンンクッスは、低カロリーでさっぱりとした口当たりの中に、豊富なたんぱく質、無機質がスープという消化吸収されやすい形で含まれています。

ネンコンクッス
ネンコンクッス

薬念研究所HP:キーワードで見る食文化2014年8月「ネンコンクッス」より転載