韓国の大衆的な麺料理のひとつに、カルクッス(칼국수)があります。カル(칼)は包丁を、クッス(국수)は麺類を意味し、小麦粉の生地を包丁で細く切った「切り麺」を意味することばが、そのまま料理名になりました。 カルクッスのイメージを一言でいうと、ダシのよくきいた塩・しょうゆ味の煮込みうどん、といえます。もっとも、添えられたヤンニョムジャン(薬味だれ)をかけると一転して真っ赤なスープに変わり、一杯で二種類の味が楽しめるのは、韓国料理の食べ方の一典型かもしれません。
さて、カルクッスのポイントとなるダシですが、一般的には煮干しや昆布でダシをとることが多く、ほかに鶏や牛を使うこともあります。また、あさり、干し海老、干し鱈、紅蛤とよばれる小型のムール貝、牡蠣などを具に入れることも多く、そこから出た海鮮の旨味が複合して味わい深いスープを演出します。
そのほかの具としてはズッキーニ、葱、じゃがいも、きのこ、にんじんなどが使われ、仕上げにはよくもみ海苔があしらわれています。一方で、具をほとんど入れないシンプルなカルクッスもあります。 さて、次にカルクッスの麺ですが、小麦粉に卵、塩、水を加えて硬めに打ち、麺棒で薄く延ばして折りたたみ、端から包丁で細長く切って作ります。日本の手打ちうどんのように太さやコシの強さを強調したものというよりは、太くもなく細くもなく、たとえれば「冷や麦」や「沖縄そば」の麺のようなイメージといえます。今日では、手打ち麺に代わって製麺所で作られたカルクッス用の生麺が市販されており、それを使うのが主流になっています。