えごま(荏胡麻)はシソと同種の一年草で、葉・種とも韓国料理によく使われます。えごまは韓国語で들깨(トゥルケ)、えごまの葉は깻잎(ケンニプ)あるいは들깻잎(トゥルケンニプ)といいます。
日本では、地方により「じゅうねん」「えぐさ」「あぶらえ」などの呼び名もあり、ごまよりも古く縄文時代から栽培されてきました。日本では種を食べたり油をとるのが目的で、葉はごく最近まで利用されませんでしたが、近年の韓国料理ブームに影響されて、葉の需要が少しずつ増えてきています。
韓国ではえごまの葉は、焼き肉やお刺身、ご飯などを包んで食べるのに、もっともよく使われます。そのほか、刻んでチゲ(鍋もの)や和えものに少し入れたり、次のような保存食にしたりします。
・깻잎김치(ケンニプキムチ):えごまの葉のキムチ(左)
・깻잎장아찌(ケンニプチャンアチ):えごまの葉の醤油漬け/味噌漬け(右)/コチュジャン漬け
えごまの葉は、シソにも似た特有の香りが身上です。この芳香成分はペリルアルデヒドといって、抗菌、消臭、鎮静作用があることも知られています。
また、えごまの葉は韓国で「食卓の妙薬」といわれるほど体によい食べものとされています。たしかに、えごまの葉には各種ビタミンとカルシウム、カリウム、鉄などのミネラルが驚くほど多く含まれるほか、細胞の再生作用や消炎作用、抗アレルギー作用、血液循環促進、抗がん作用などの効果が次々と発見されています。一言でえごまの葉は、成人病と老化を防ぐすぐれた機能性食品ということができます。